エステの経営理念の作り方まとめ -エステ経営に欠かせない経営理念とは-
2022年1月31日
目次
1.そもそも経営理念とは何か?
経営理念とは経営者の企業に対する方針を明文化したものになります。
簡単に言うと、企業の目指す方向性を言葉にしたものです。
経営者には、企業に対する思いや考えがあり、それが企業として目指すべき方向性の一つになるのです。それは誰に対するものでもいいので、会社が目指したいもの実現したいものが明文化されていることが大事になります。そこに共感が生まれ、企業で働く人の思想や目指すものが統一されることが経営理念で重要なことになってきます。
経営理念ということが従業員には何なのかを知らない人も多いでしょう。でも企業が何を目的として存続しているのか、どんな想いで創業したのかを知ることは働く上で、生きる上で大事なことになります。
今回はその経営理念を考える上で重要なこと、エステサロンとしての経営理念についての考え方、そしてその理念の作成手順を記載しました。
2.経営理念と合わせてよく聞く
ミッション・ビジョン・バリューって?
ここで抑えておきたいことは、経営理念とミッション・ビジョン・バリューの違いです。
まずミッションは経営理念の実現のためにやるべきことです。それと異なりビジョンは実現したい、創造したい未来になります。ミッション(使命)のために“いつまでにどうなっていたいのか“ということです。
次にバリューが価値になります。価値とは企業が何に対しての価値を生み出すことができるのかという視点になります。ミッションは使命であり、ビジョンが未来、バリューが価値になります。
例えば“美容を通じて社会に立つこと”という理念があったとします。その時の美容を通じて役に立つことはミッションであり、その企業を実現するためにまずは3年をかけて多くの女性にエステを通じて美容サービスを提供することがビジョンであり、美容を通じて“いきいきと生きること”ができるお客様がいることがバリューである価値になります。
経営理念=ミッションを見つけよう
✔️ミッションは自分が命をかけて実現したいこと
ミッションとして、人生を通して実現したいことは何か書きだすと良いでしょう。日々を通じてどんなことを使命として生きていきたいのか、だれの役に立つことで価値を生み出したいのかという考えになります。
例えば美容を通じて世の中の人を美しくという考えがあるとすれば、人に対する美しさを日々提供することを使命とするものいいでしょう。このように人生を通じてでも、日々を通じてでも自身の成し遂げることを整理することが大事になります。夢や目標でも構いません。これからどんな人生を生きるのかというのがミッションのテーマです。
✔️一生の時間は約70~80万時間
人の生きる時間は有限です。その時間の中で自分は何を実現して成し遂げるのか?成し遂げたいのか!ということを明確にしましょう。人生を有意義に使うためにも経営理念を考えることにとらわれずに考えてみるものいいですね。
経営理念=ビジョンを定めよう(将来のイメージや志)
✔️ミッションを実現するための通過点(どうなっていたいのか)
良く聞く3か年ビジョン・5か年ビジョンはミッション実現に向けての中期計画なのです。ビジョンで重要なことはゴールから逆算していつまでにというおおまかな時間の設定を行います。例えば先ほど時間は有限ですというお話をしましたが、ゴールだけ決めても、そのゴールがすぐに達成できるものではないでしょう。
そのために3年後にどうなりたいのか、どうなっていたいのかという成長過程を作ることが重要です。ビジョンが大事なのは長期的な人生の目標に対する自分の通過点を作ることができるのです。
通過点があることで、そこで3年を振り返った時に理念の実現に向けてどうなのか、目的に対する現状を顧みるいい機会になりますね。
経営理念=バリューを決めよう
✔️バリューとは価値判断の基準となる指標
企業として実行していることに価値を持たせること、そしてその価値を社員と認識を合わせることは大事なことです。美容を通じて、どんな人に価値を提供するのか、サロンを通じてどんな人に美容という価値を提供するのかということを考えましょう。
自身が美容を通じてどんな人生になったのか、どんなことを価値として受けることができるかという想像をすると答えが見えてきます。お客様、企業、そして美容商材の生産者、関係者の幸せを追求して、価値を提供することが大事という共通の認識を持ちましょう。
そうすることで、従業員の働く意思や、何のためにサービスを提供するといいのかという方向性を整えることができますね。一人一人生きる目的は違うかもしれませんが、サービスを通じてどんな価値があるのかを認識するだけでも、お客様に与えるサービスは変化します。
3.エステサロンで経営理念はなぜ必要なのか?
エステサロンでも同様に経営理念は必ず必要になってきます。
企業は生き物ですので目的が必要になります。自身が何のために生きているのかということと同じです。人生を通じて何をエステサロンとして成し遂げるのかを考えることから始めましょう。
重要なことは、エステという美容を通じて、どんなミッションがあり、そこにどんなビジョンがあり、バリューがあるかです。
4.経営理念=経営をする目的は3つの要素から決めよう
経営理念を考える上で重要になるのは下記の3視点から経営理念を考えることになります。
人間性の追求(スタッフ・エステティシャンを幸せに)
まずは人間性になります。エステサロンは人ありきでサービスが成立します。
セルフであってもかかわるのは人です。働いている人が幸せでなければ、お客様を幸せにすることは難しいでしょう。働いている人の幸せを考えてどんなメニューやサービスがあることが企業として幸せになるのか、どんな環境があればいきいきと働くことができるのかという考えを明文化できるといいですね。
社会性の追求(社会に役立つエステティックビジネスは?)
次に大事になるのは社会性を追求することになります。社会性とは社会の役に立つことです。誰もが生きやすい社会を生み出すためにサービスを提供しています。わざわざマイナスになるようにサービスを提供することはないでしょう。
大事なことは明日お客様が輝く未来を想像していきれることはではないでいょうか。エステという美容を通じて、社会にどんな役に立つのか考えていきましょう。
経済性の追求(会社を続けるために利益を出すには?)
最後に経済性の追求になります。会社は生き物であり、売上が上がらないとなれば経営することは難しいです。経営者も生きるために、従業員も生きるために経済力が必要になります。
最初にもありましたが、働いている人の幸せと、そして社会の役に立つサービスが提供することができればおのずと売上は上がるでしょう。
経済力である売上を継続するために、会社としてエステサロンとして何を世の中に求められているのか考えることが経済性の追求として大事になります。
5.エステ経営における経営理念作りのコツ
・企業メッセージとスタッフメッセージは分けて考えよう
まずは企業のメッセージを社会に打ち出すもの、スタッフメッセージを分けて考えることが大事になります。企業のメッセージは社会に対してのメッセージになりますのでエステサロンとして社会にどう役に立つのかということです。
スタッフメッセージは、より多くの人がエステサロンで働きたくなるような場所を用意することになります。エステティシャンの働き方や環境を考えることで、メッセージ性の高いものが出てきます。
・理念はスタッフの理解があって形になるもの(体験や考えに分かりやすい言葉をのせるのがエステ経営理念のポイント)
次に共感を大事にしましょう。周りの共感が無ければ働きたいと思える人はいなくなります。その理念に共感することで自分もエステティシャンとしてこんな夢や目標を実現したいとなるわけです。働き方でも環境でもいいですが、自分が働きたいと企業に入社する視点で考えるといいですね。
6.エステ経営理念の参考になる理念が素晴らしい企業を紹介
・事例1:テルズ&クイーン
最初に紹介させていただくのは、テルズ&クイーン様の「素敵なお母さん作り」という企業理念があります。女性が活躍できる社会を実現したいという思いからの企業理念としてシンプルでわかりやすく経営者の気持ちのこもった素敵な企業理念ではないでしょうか。下記に理念に対する想いをHPより引用しました。
テルズ&クイーンでは、「素敵なお母さんづくり」をビジョンに掲げています。
女の子が活躍する時代と言われていますが、なかなか本気で女の子が活躍している、例えば女の子が幹部になるとか、そういう会社ってまだまだ少ないというのが私の実感です。
しかし、活躍できる女性を増やしてあげたい企業さんはたくさんいると思います。弊社は、女の子しかいない会社だからこそ、そんな企業さん達のモデリングになるような会社を目指しています。人は一人では生きていけないし、社会に出たら仲間やチームを大切にすると思います。
弊社では一番、大切にしてもらいたいのは家族だと考えています。今まで育ててもらったお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃん。一人では生きていけないからこそ、お父さん・お母さんに褒めてもらいたいとか、認めてもらいたいとか、本当に感謝ができるそういう子たちがテルズ&クイーンに入ってくれて、弊社の教育を受けてくれたら非常に成長するんじゃないかなって考え常にそういう価値観を大切にしています。
@テルズ&クイーンHPより引用
このメッセージに共感するところから、会社働くことのビジョン、そして価値であるバリューを働く側も抱くことができます。
エステサロンで働きたいと思える従業員へのメッセージ性の高い言葉です。
・事例2:株式会社不二ビューティ
次に紹介させていただきますのは“株式会社 不二ビューティ”様の企業理念であるミッションを紹介します。
エステティック技術を通して人々の美と癒しに貢献する。
美容家 たかの友梨は、「自分の名前にかけて責任を持ってお客様をケアし続ける」という思いから、その個人名をお店の名前としました。 たかの友梨ビューティクリニックはこの決意を形にするため、エステティシャンの育成に力を注ぎ、優れた本物の技術者を育て続けております。
私たちが考える“真のエステティシャン”とは、高度なエステティック技術だけではなく「愛といたわり」の心を持ち、お客様に癒しや深いやすらぎを感じていただける“美のセラピスト”。すこやかな心は自然治癒力を高め、その人本来の優しさと美しさを導きだします。
女性の、女性による、女性のための企業として、すべての女性たちが生き生きと美しい未来へ向かっていけるように、たかの友梨ビューティクリニックは、時代に求められる美と癒しの技術をこれからも探求し続け、お届けしてまいります。
@株式会社不二ビューティーHPより引用
自分の名前にかけて責任を持ってお客様をケアし続けるという言葉に感銘を受けました。
創業者の想いが伝わる一文ですね。働く側としてもミッションが明確で理解しやすい素晴らしい内容となっています。
・事例3:株式会社プロラボホールディングス
次に紹介させていただきますのは、株式会社プロラボ ホールディングス様の、会社の目的と会社の使命になります。
会社の目的 [存在意義]
株式会社プロラボ ホールディングスは、全従業員が仕事を通じて人格を高め、「全従業員とその家族が物心両面の豊かさを実現すること」および「美容業界の発展と人類の健康寿命の延伸に貢献すること」を目的とし、存在する。会社の使命(ミッション)
株式会社プロラボホールディングスは、「真の美しさは食事からつくられる」をコンセプトとし、健康をベースとした内面からの美容を追求し、「インナービューティー」を入口として、人類の健康寿命の延伸に貢献する。@株式会社プロラボ ホールディングスHPより引用
ミッションの中にある、インナービューティーを入口として、人類の健康寿命の延伸に貢献するという言葉は素晴らしいですね。働く一人一人のみならず誰もが共感できる、貢献したくなる明文化されたミッションではないでしょうか。
・事例4:株式会社マッコイ
次に紹介させていただきますのは株式会社マッコイ様の代表メッセージになります。
マッコイが提供するのは「製品」ではなく、「輝く人生」だと思っています。
健康で若々しい美しさは、人々に自信を与え、輝く人生へと導いてくれますから。だからこそ、マッコイはマッコイと出会うすべての人の人生を応援するプロ集団として、いつの時代も変わることなく、真っ直ぐに「本物」づくりに邁進して参ります。
@株式会社マッコイHPより引用
提供するのは製品ではなく輝く人生であるという素晴らしいフレーズですね。
製品を提供するだけではなく、その先にどうあるのか、ミッションからビジョンも含まれた、共感性の高い一文となっています。
・事例5:ビューティガレージ
最後に紹介するのはビューティガレージ様の行動指針になります。
ビューティガレージ様はスローガンとして美容業界を変えるというメッセージをホームページにて発信しています。
行動指針
私たちは・・・
・常にお客様の良きパートナーとして、お客様の夢の実現を全力でサポートいたします。
・誠実かつ正直に行動し、常に感謝の気持ちを忘れません。
・常にプロフェッショナルとして、自身の価値を高める努力を怠りません。
・常に経営者意識を持って業務に取り組み、自ら成すべき事を考え行動していきます。
・失敗を恐れず、常に新しい試みにチャレンジしていきます。@ビューティガレージHPより引用
企業理念は、経営者の想いも重要でありさらに社員一人一人にその想いが伝わること共感されることも重要です。共感があり方向性が一つになります。
いかがでしょうか。経営者の想いによって実現するミッション、ビジョン、バリューは様々です。またこの文章だけでも経営者の想いが理解でき、そこに共感が生まれるような言葉がチョイスされています。
7.エステ経営理念作りに困ったら?真似から始めよう
1.好きな経営理念を業種問わず集めましょう
エステサロンということにとらわれると、同じ業種のサロンを参考にして経営理念を考えようと思いますが、そこにとらわれず人生を通して何を実現したいのかを考えましょう。経営理念は自分自身で創りだすものではありますが、自分の知っている企業はどんな思いの理念があって創業しているのか、事例を知ることで明文化できてくるのも事実です。
2.共感する言葉や考えにマーカーをしましょう
その中で、企業理念でこの言葉に共感する!この言葉がいいと感じるなど自身が目指していきたいと思える言葉をピックアップします。
3. 1.と2.をミッション(なぜこの会社をやるのか)・ビジョン(どうなりたいのか)・バリュー(何を正しいとするのか)の視点で自分のエステサロンにあてはめて見直してみましょう。
そうすることでより良い企業理念になるでしょう。
8.エステ経営理念作りのオススメの作業順はこちら
自分の過去を振り返り、想いを文字にしましょう
自分の過去にどんなことがあったのか考えてみましょう。そしてどんな思いがあるのか、その時を振り返り自分はどんなことを思ったのかなど生きる理由が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。過去の出来事、その出来事に対する想いを文書にして書き出してみてみるといいですね。心が動かされた経験はどんなことだったのか、どんなことで感動し、どんなことがあるとだれかのために役に立ちたいと思うことができるのかなど、過去の経験は本当に貴重ですね。
自分の会社の経営理念をミッション・ビジョン・バリューにあてはめてかいてみましょう。
次にその文書から、ミッション・ビジョン・バリューをそれぞれ見出していきましょう。それはゴールから考えるとビジョンやバリューも考えやすくなりますね。繰り返しにはなりますが、ミッションとして成し遂げること、ビジョンとしてゴールまでの目指すべき未来、そして価値を提供できるのかという視点です。
書きあがったら、友人3人に話してみましょう
誰かに話すことが大事になります。話すことで、周りがいいと思うのか自分の考えが正しいものなのかを整理することができますね。また話すことで、社会との整合性を確認できることがいいポイントです。
エステサロンであればエステティシャンに話してみるのもいいですね。この企業理念に対しての共感が生まれるのか、意見に違いが生まれるのか、果たして表現が適当なのか、など話すことで多くの視点が生まれることも事実です。
意見を否定せず取り入れながら修正してみましょう
最後に周囲からもらった意見を取り入れてみましょう。決して自分の考えだけが正しいと思わないことです。周りにいいと思われることが正解ではありませんが、周りの考えを取り入れながら独自の理念を生み出すことが重要です。
いかがでしたでしょうか。経営理念を作り出すことは簡単ではありません。
自分自身の人生を見つめ直し、何をもって何を大事にして何を成し遂げるのかということを考えて経営理念を考えてみてください。
その先にミッション、ビジョン、そしてバリューも見えてくるでしょう。