エステサロンの開業で使える助成金7選|補助金・融資や事業計画書の書き方も解説
2021年12月17日
「エステサロンの開業に使える助成金はある?」
「費用を抑えてエステサロンを開業したいけど、資金調達の方法が分からない」など、お悩みではありませんか。
エステサロンの開業に使える助成金は、複数の種類があります。また助成金のほかにも、補助金や融資を活用して資金を集めることも可能です。
今回はエステサロン開業時や開業後に使える助成金や補助金、融資を解説します。またエステサロンの開業資金集めで知っておきたいポイントも解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
エステサロン開業に必要な資金の目安
エステサロンの開業に必要な資金の目安は開業スタイルごとに異なり、自宅サロンでは30万円、テナントサロンでは400万円以上かかります。自宅、マンション、テナントで開業した場合の資金目安を下表にまとめましたので、ご覧ください。
資金内訳 |
必要な資金の目安 |
||
自宅サロン | マンションサロン | テナントサロン | |
家賃 | 0円 | 10万円~ | 20万円~ |
賃貸物件の契約金 | 0円 | 50万円~ | 100万円~ |
内装費 | 0~20万円 | 0~20万円 | 120万円~ |
設備費用・消耗品 | 10万円~ | 10万円~ | 10万円~ |
広告宣伝費 | 5万円~ | 30万円~ | 50万円~ |
美容機器費用 | 0~数百万円 | 0~数百万円 | 0~数百万円 |
運転資金(人件費、光熱費などの固定費3~6カ月分) | 15万円 | 50万円~ | 100万円~ |
計 | 30万円~ | 150万円~ | 400万円~ |
エステサロンの開業時に美容機器を導入したり、複数のスタッフを採用したりすると高額な費用がかかります。助成金や補助金、融資を活用して、開業資金を調達しましょう。
エステサロンの開業に必要な資金については、こちらの記事でも解説していますのでご覧ください。
関連記事:エステサロンの開業資金はいくら必要?金額や調達方法を詳しく解説
助成金・補助金と融資の違い
助成金・補助金、融資には、管轄する団体や目的など細かな違いがありますが、最大の違いは「返済義務があるか」です。
助成金や補助金で調達できる資金は少額ですが、基本的に返済不要です。融資は高額な資金を調達できますが、定められた期間内に返済する必要があります。
そのほかの違いは下表でご確認ください。
項目 | 助成金 | 補助金 | 融資 |
管轄する団体 | 厚生労働省 | 経済産業省
中小企業庁 |
日本政策金融公庫
民間の金融機関 |
返済の必要性 | 原則返済不要 | 原則返済不要 | 返済必要 |
目的 | 開業支援
雇用創出など |
設備投資
技術開発など |
新規開業
設備投資など |
資金調達のしやすさ | 支給額は少ないが、要件を満たせば受給しやすい | 選考によっては、受給できないことがある | 民間の金融機関よりも日本政策金融公庫のほうが融資を受けやすい |
エステサロン開業時や開業後に使える助成金7選
ここからは、エステサロン開業時や、開業後に使える助成金を紹介します。エステサロンが使える助成金は以下の7つです。
- 地域雇用開発助成金
- 人材開発支援助成金
- キャリアアップ助成金
- 両立支援助成金
- 自治体独自の助成金
- トライアル助成金
- 業務改善助成金
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金は、雇用のチャンスが乏しい特定の地域で「エステサロン開業」「地域の住民の雇用」の双方を行った場合に支給される助成金です。
地域雇用開発助成金を受給するためには「計画書の提出」や「対象地域でのエステサロン開業」「ハローワークからの紹介で地域住民を2人以上雇い入れる」などの条件をすべて満たす必要があります。
受給額は開業にかかった費用と雇い入れたスタッフの数に応じて異なります。
たとえば、300万円以上1,000万円未満の費用をかけてエステサロンを開業し、2人〜4人のスタッフを雇い入れる場合、50万円が1年ごとに最大3回受給可能です。(2023年6月現在)
地域雇用開発助成金は地方でエステサロンの開業を検討する方におすすめです。
対象地域・申請条件・受給額などに関しての詳細は下記、厚生労働省のホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 地域雇用開発助成金
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は「雇用するスタッフが専門知識や技術を習得するための訓練の実施」や「教育訓練のための休暇制度の導入」「非正規雇用労働者に対する正社員化を目指す訓練の実施」などをした場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部が支給される助成金です。
エステサロンの場合、具体的にはスタッフのスキルアップを目的としたエステ技術・ビジネスマナー・営業スキルなどの研修やセミナーの費用、研修中のスタッフの給与の一部が支給対象です。
人材開発支援助成金には7つのコースがあり、申請条件や受給額はコースによってそれぞれ。
たとえば「人材育成支援コース」では10時間以上の職業訓練を実施した場合に、経費の一部が助成されます。(2023年6月現在)
スタッフを雇ってのエステサロン開業を成功させるためには、スタッフのスキルアップが欠かせません。
人材開発支援助成金を積極的に活用し、開業時に教育制度を充実させることをおすすめします。
申請条件や受給額などの詳細は下記、厚生労働省のホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 人材開発支援助成金
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は「非正規雇用スタッフの正社員化」「スタッフのキャリアアップ」「スタッフの処遇改善・健康管理の取り組みを実施」などをした場合に支給される助成金です。
キャリアアップ助成金には6つのコースがあり、申請条件や受給額はコースによって異なります。
たとえば「正社員化コース」の場合、中小企業が有期雇用労働者を正社員などに転換すると、対象者1人あたり57万円が支給されます。(2023年6月現在)
エステサロンを成長させていくにあたり、スタッフを正社員化し経営力を向上させていくことも選択肢のひとつなので、キャリアアップ助成金を開業時に確認し経営戦略をたてておきましょう。
申請条件や受給額などの詳細は下記、厚生労働省のホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 キャリアアップ助成金
両立支援助成金
両立支援助成金は子育てや介護と仕事の両立を支援するための助成金であり、育児・介護休業や時短勤務制度を導入した場合に支給されます。
両立支援助成金には3つのコースがあり内容は異なりますが、たとえば「介護離職防止支援コース」の場合、介護休業を取得し復帰したスタッフ1人あたりの受給額は60万円です。(2023年6月現在)
エステサロンは女性のスタッフが多く、育児や介護での離職率も高い業界です。
優秀なスタッフに長く働いてもらいたいと考える場合は、両立支援助成金の活用を検討し、ワークライフバランスが取れる職場環境を作りましょう。
申請条件や受給額などの詳細は下記、厚生労働省のホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 両立支援助成金
自治体独自の助成金
厚生労働省が管轄する助成金以外にも、各自治体が行う助成金もエステサロン開業に役立つことがあります。
たとえば東京都の「創業助成金」は、都内で創業を予定している一定の条件を満たす方や創業後5年未満の中小企業者などに対し、賃借料や広告費、機器備品購入費の一部が支給される助成金です。
申請条件や受給額などの詳細は下記、東京都産業労働局のホームページをご覧ください。
参考サイト:東京都産業労働局 創業助成金
このほかにも各自治体でさまざまな助成金が用意されているため、開業予定の自治体のホームページなどを確認しておきましょう。
また下記の独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営するサイトを利用すると、各自治体の助成金や補助金を検索できます。
参考サイト:J -Net21 支援情報ヘッドライン
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、安定した就職が難しい求職者をハローワークからの紹介で原則3か月の試用期間を設けて雇用した場合に支給される助成金です。
たとえば以下に該当する方をトライアル雇用した場合、対象者1人につき月額4万円〜5万円の助成金が最長3カ月間支給されます。(2023年6月現在)
- 妊娠や出産、育児による離職期間が1年以上
- 生活保護受給者
- シングルマザー
- ニート
- フリーター など
トライアル雇用期間中は人件費を抑えながら、本人の適性を見極められます。適性のある人材のみを本採用につなげられるため、エステティシャンとして長く活躍できる人材を確保しやすくなるでしょう。
トライアル雇用助成金の詳しい受給要件や受給額などは、下記の厚生労働省ホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 トライアル雇用助成金
業務改善助成金
業務改善助成金は設備投資で業務改善し、従業員の最低賃金を一定額以上引き上げた事業者へ設備投資にかかった費用の一部を助成する制度です。設備投資には、機械設置やコンサルティング導入、人材育成、教育訓練などが該当します。
たとえば事業場規模30人未満の事業者が、コンサルティングを導入し業務フローを改善したとします。そのうえで従業員の最低賃金を30円以上引き上げた場合、賃金引き上げの対象となる従業員が1名であれば60万円を上限にコンサルティングにかかった費用の助成が可能です。(2023年6月現在)
最低賃金の引き上げ額は30円以上、45円以上、60円以上、90円以上で区分けされており、助成上限額が異なります。
業務改善助成金の詳しい申請条件や助成上限額などは、下記の厚生労働省ホームページをご覧ください。
参考サイト:厚生労働省 業務改善助成金
エステサロン開業時や開業後に使える補助金3選
エステサロン開業時や開業後に使える補助金は以下の3つです。
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の生産性の向上と発展を図ることを目的に、販路開拓などのための経費の一部が支給される補助金です。
申請枠が5つに分かれており、それぞれ補助率や補助上限が異なります。
たとえば「通常枠」では50万円を上限に、販路開拓に必要な経費の2/3が補助されます。(2023年6月現在)
対象経費の範囲は広く、エステサロン開業ではホームページの作成費や業務用エステ機器導入費、看板設置費などが対象になり得ます。
申請方法や受給額などの詳細は下記、小規模事業者持続化補助金の公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金
IT導入補助金
IT導入補助金は小規模事業者や中小企業が「ITツールを導入」「セキュリティを強化」したときなどの経費が一部支給される補助金です。
申請枠が3つに分かれており、それぞれ補助率や補助上限が異なります。
たとえば従業員5人以下の小規模事業者を対象とした「通常枠」では、150万円を上限にITツール導入費用の1/2以内が補助されます。(2023年6月現在)
エステサロン開業では、PCの購入費やセキュリティサービスの利用費、会計ソフト導入費などが対象になり得ます。
申請方法や受給額などの詳細は下記、IT導入補助金の公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:一般社団法人サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023
ものづくり補助金
ものづくり補助金は小規模事業者や中小企業が取り組む「サービス開発」「試作品開発」「生産プロセスの改善」を行うための設備投資費が一部支給される補助金です。
申請枠が5つに分かれており、それぞれ補助率や補助上限が異なります。
たとえば従業員5人以下の小規模事業者を対象とした「通常枠」では、750万円を上限にサービス開発費用やシステム投資費用の1/2以内が補助されます。(2023年6月現在)
エステサロン開業では、業務用エステ機器の導入費や予約システム導入費、ホームページ作成費などが対象になり得ます。
申請方法や受給額などの詳細は下記、ものづくり補助事業の公式ホームページをご覧ください。
参考サイト: 全国中小企業団体中央会 ものづくり補助金
エステサロン開業時や開業後に使える融資2選
エステサロン開業時や開業後に使える融資は、以下の2つです。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 民間の金融機関の創業融資
日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫は、日本政府の出資する金融機関です。
日本政策金融公庫のメリットとしては、新規創業の多くの方が融資利用されているために資金を集めるハードルが下がることにあります。
また新創業融資を実施しているために、これからはじめてエステサロン開業に臨む方はご利用される方が多いでしょう。
日本政策金融公庫で押さえるべき制度は「新創業融資制度」です。新たに事業を開始する場合は必ずチェックしましょう。
日本政策金融公庫は、金融機関よりも金利が低めに設定される場合が多く、制度によっては無担保、無保証で融資を受けられることも特徴の一つです。
融資制度としては新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金がありますので、ご自身の状況に応じて活用できるように計画しましょう。
日本政策金融公庫の融資制度の詳細は、下記の公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:日本政策金融公庫
民間の金融機関の創業融資
民間の金融機関の場合、開業時に融資を受けるのは難しい銀行もあります。とくに東京や大阪などの大都市に本店があり全国展開している銀行は、大企業との取引が中心です。開業時に融資を受けるのは難しいでしょう。
しかし新規で開業する方を支援する制度が設けられている信用組合や信用金庫などであれば、融資を受けられる可能性があります。
たとえば大阪信用金庫の創業支援資金では要件に該当する場合、3,500万円以内で融資を受けることも可能です。(2023年6月現在)
参考サイト:大阪信用金庫 創業支援資金
お近くの信用組合や信用金庫などで、開業時に利用できる融資制度があるか確認してみると良いでしょう。
エステサロンの開業資金集めで知っておきたいポイント
エステサロンの開業資金集めで知っておきたいポイントを、以下の項目に分けて解説します。
- 事業計画書の書き方
- 開業の流れと助成金・補助金・融資申請のタイミング
事業計画書の書き方
事業計画書を作成することは、金融機関や日本政策金融公庫からの融資を受けるために必要な要素です。
このオーナーであれば任せることができそう!と思われる内容にすることが融資を有利にするポイントです。そのための記載しておくポイントを整理すると下記の項目のようになります。
事業計画書の主要項目 | 記載する内容 |
経営者概要 | 経歴やプロフィール |
企業理念 | 会社のビジョンや目的 |
事業内容 |
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自サロンの強み |
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売上計画 |
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販促計画 |
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人材計画 |
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運転資金 |
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開業の流れと助成金・補助金・融資申請のタイミング
エステサロンの開業は、一般的に約3カ月~6カ月の期間が必要です。開業の流れと助成金・補助金・融資の申請タイミングを見ていきましょう。
【開業6カ月前~5カ月前】助成金や補助金、融資の申請
まずはエステサロンの開業資金を準備します。助成金や補助金、融資は申請しても、すぐにお金が振り込まれるとは限りません。エステサロンの開業場所や種類、コンセプト、メニューなどを決定後に事業計画書を作成し、助成金や補助金、融資を申請しましょう。
また個人でエステサロンを開業する場合は、事業開始後1カ月以内に税務署へ開業届を提出する必要があります。早めに開業届を準備しておきましょう。
【開業4カ月前~3カ月前】物件の工事、人材確保
エステサロン用の物件の内装や外装工事を、業者へ依頼します。またエステサロンで使用する備品や機械を選び始めましょう。
さらに採用活動や集客用のホームページ、広告などの準備も必要です。
【開業2カ月前~1カ月前】宣伝活動、機械導入、オープン
チラシの配布やSNSを使った宣伝活動をスタート。店舗内に機械を設置後、エステティシャンに機械の使用方法や接客方法などの研修を実施し、いつでもお客様の前に立てるように準備しておきます。開業準備が整ったら、エステサロンの営業を開始しましょう。
エステサロンの開業には助成金・補助金や融資を活用しよう
助成金や補助金、融資制度を活用することで、エステサロン開業にかかる費用を抑えられます。また開業後の資金繰りの安定にもつながるでしょう。
しかし助成金や補助金、融資には、申請に時間や手間がかかるものもあります。また書類の不備や提出期限を過ぎてしまい、本来受け取れるはずのお金が支給されないこともあるでしょう。
リスクを最小限に抑え、円滑に資金調達するためにも、助成金や補助金、融資制度に詳しい専門家に相談するのもおすすめです。
エステサロン開業の資金調達に関するご相談は、ぜひ私たち「b-models」にお任せください。
b-modelsは経営コンサルティングをはじめ、業務用エステ機器の販売、サロン技術・スクール事業などを展開するエステティックサロン専門商社です。
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- 助成金・補助金、融資の申請サポート
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